SYSPLEXとは、IBMのメインフレームのクラスタ技術です。
複数のメインフレームOSが協調して単一システムイメージを実現するものです。SYSPLEXは、システム間カップリング・ファシリティー (XCF) というソフトウェアとハードウェアで構成されます。このXCFの機能を用いて、異なるメインフレームで実行されているアプリケーション、サブシステム、およびデータを高速で共有できます。
メリット
単一の管理ポイントから操作でき、高可用性とスケーラビリティを実現できます。そのため、システムやリソースの障害に対して柔軟に対応できます。また、ワークロードの増加に応じて容量を拡張できます。
デメリット
導入や運用に高度な技術やコストが必要になります、XCFの準備も必要です。
Kubernetesとの比較
クラスタ技術は現代ではKubernetesが有名です。SYSPLEXとKubernetesは、ともに複数のシステムやリソースを単一のイメージとして管理できる技術ですが、違いもあります。
SYSPLEXは、前述のとおりIBMメインフレームOSのクラスタ技術であることに対し、Kubernetesはコンテナ化されたアプリケーションを管理するためのオープンソースのプラットフォームです。
SYSPLEXでは、XCFという専用のハードウェアやソフトウェアが必要です。しかし、Kubernetesでは標準的なLinuxカーネルやネットワーク機能を利用できます。
SYSPLEXでは、メインフレームOS間でデータやメッセージを高速に共有できます。Kubernetesでは、クラスタ間での通信やデータ共有には、次のように様々な手法があります。
ノードとコントロールプレーン間の通信
APIサーバーとKubernetesクラスター間の通信経路です。信頼できないネットワーク上でクラスターが実行される場合は、TLSやSSHトンネルなどの暗号化や認証の仕組みを利用します。
マルチクラスタ Kubernetes
複数のリージョンやクラウドプロバイダーでKubernetesクラスタをデプロイする方法です。顧客ごとのパフォーマンスやデータ所在地に応えるために利用されます。マルチクラスタ Kubernetesでは、AnthosやIstioなどのツールを使って、クラスタ間でのサービスディスカバリーやトラフィック管理を行います。
参考
第5回 『Red Hat OpenShift と Kubernetes の違い』 – IBM